次に失業保険給付を受けていない人について論じる。失業者の約四割しか失業保険給付を受けていないとすると、ほかにどのような所得保障制度があるのか。失業保険給付を受けていない人はどうしているのか。さらに、失業保険の給付を受けていた人も、給付期間を過ぎたときにどうしているかということも関心ごとになる。
上記のような人が対象となる所得保障制度は、①早期退職による年金給付、②傷病、障害手当、③生活保護手当などがある。①を除いてこれらの制度は、いわば社会扶助制度の一環として理解されるものである。
日本は貧困が少ないイメージであるが、西崎・山田・安藤(1998)のデータによるとそれは覆りそうだ。貧困率は1984年でも7.3%、1994年で8.1%だそうだ。アトキソン(1995)によると、1985年イギリスで9.2%、1985年のフランスが10.9%1983年のドイツが7.0%である。このことから、わが国の貧困率は決して低いとはいえない。貧困を撲滅することは、市民社会の当然の義務である。
しかし、本来生活保護を受けるべき人が受けていないといった事実が日本にはある。それはなぜなのか。まず、相当厳格な資格審査、所得、資産検査(ミーンズテスト)がある。そして、恥の文化によるのか、なかなか権利を行使しようとしない人が多い。2番目については、本人の勤労に対する努力を促す側面もあるので美徳ともいえるが、あまり恥を恐れすぎる必要はないだろう。
社会保障制度がOECD諸国のような先進国と比べて手厚くない、また日本人の気質として国家に対して権利を行使しない。この2点が大きな理由となってサラ金、個人ローンに手を出してしまう。このことが引き金になって多重債務は引き起こされていることも一つあるだろう。このような多重債務者を未然に防ぎ、あるいは被害を最小にすることがセーフティネットに求められている。多重債務者へのセーフティネットがうまく機能するかどうかは、政府の寛容さや包容力、そして多重債務者それぞれ個人が専門家や有識者に相談するという意識を持つ事にかかっていると言えるだろう。