失業は目途のつかない減収を意味する。減収でも生活しないといけない。例えばその時、サラ金、個人ローンを利用する。そして、その時の債務が大きく膨らんでしまい多重債務者となる。このような可能性も否定はできない。失業保険のセーフティネットは、多重債務問題の重要な論点となる。
労働者が失業者になる可能性は、意図的にせよ非意図的にせよ、どの労働者にもある。意図的とは、いずれ非労働力化するか、次の職業探しのために職を離れる場合である。非意図的とは、企業が倒産したとか、何らかの理由で解雇されたとか、病気や負傷によって就労不能になる場合である。ここでは、一時的に職を失うことは、勤労による資金収入がなくなることを意味する。貯蓄や資産の多い人は、資産の取り崩しによって所得を確保できるが、それのない人や、あるいは小額しかもっていない人のために、セーフティネットとしてさまざまな制度がある。
代表的には、①失業保険制度(わが国では雇用保険制度)②失業保険制度を除いた各種扶助制度である。これには労働災害保険、病気、損害手当て制度や生命保険制度がある。失業保険制度は勤労していた人にとっては主たるセーフティネットであるし、国の公共政策の大きな柱の一つである。だが、統計によるとわが国では失業者の約四割は失業保険の給付を受けるが、残りの六割は失業保険の給付を受けないのである。この四割の人のセーフティネットをまず論じる。