多重債務者へのセーフティネットの原則

ベヴァリッジはナショナルミニマムの達成のために、必要な大原則を二つ提示した。一つはミーンズテスト(資格審査)の必要性であり、もう一つは社会保障原理の活用である。

 

まず、ナショナルミニマムの設定にまつわる問題点を議論する。多重債務者、債務整理者ひとりひとりが、どの程度の金額が、一年ないし、一ヶ月以内に必要かを決定することは、そう容易なことではない。わかりやすい例で言うと、自宅に住んでいる人と借家に住んでいる人は、家賃支払いの有無によって必要生活費に相当の差がある。もっと困難なことは、人によって要求水準が相当異なるので、国民全員を納得させられるようなレベルは、たぶん決定できないということである。

 

仮に決定するとして第一の決定方法は、個人が最低限生活するのに、食料費がいくら、電気、ガス、水道代がいくらといった具合に生活必需品の額を合計し、最低限の生活費をミニマムとして算定することである。わが国を含め多くの国で、この方法を用いて、生活保護支給額、いわば貧困線をこのように決定する時代があった。しかしこの方法にも難点がある。多重債務者が子供を高校や大学に進学させるための授業料を含めるのかどうかという問題に直面する。また生活必需品の額もそれぞれのライフスタイルにより相当異なっていることだ。

 

第二の決定方法は、第一の欠点を避けるために、個々の必要経費の算定をせずにある合計所得金額のみを設定する考え方を取る。これは所得分布上において、ある所得金額に達しない人を貧困とみなす考え方に近く、そのある所得金額をナショナルミニマムとみなすのである。たとえば、ヨーロッパでは貧困線の設定を行う場合、全国民の平均所得に対して半分以下の所得しか得ていない家計を貧困層と定義している。この考え方はナショナルミニマムを必要経費によるアプローチに変換したものといってよい。しかも、所得をどの商品ないし経費にするかということに注意を払わない方法でもある。

 

教育の充実の視点から私の考えを述べると、高校、大学、短大、専門などの子供がいる家庭の多重債務者、債務整理者の場合余分に補助を与え、それ以外の費用に関しては合計所得金額を設定すべきだと考える。やはり、教育の充実は国家の重要な役割りである。なぜなら、教育の充実が国力、経済力の向上につながるからである。

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